東京から連絡があり韓国のある企業から俺の会社の
国際電話サービスを韓国でOEM(中身はうちのものだけど
違う会社のブランド名で販売すること)したいと申し込んできたとの
事だ。
NYで逢ったその男はS社のミスター・リーと言った。(韓国はほとんどリーさんかキムさんばかりだ)
彼の話によると韓国では日本同様に国際電話事業を大手の会社が
独占し、欧米に比べかなりの高さらしい。
それは俺もだいたい掴んでいた。
もちろん韓国には俺の格安国際電話サービスのポテンシャルは
おおいにあった。
リーさんは韓国のマーケットに乗り込むのにOEM契約ができる
会社を探していてうちを候補の一社に考えたらしい。
実は俺自身も韓国マーケットは興味があったし自分自身が乗り込んで
みるのも検討課題として持っていた。
しかし自分の好みではあるがどうもアジアの国へ乗り込んで
仕事をするのは欧米に行くのと違い、なんとなく気乗りがしなかった。
OEMでも自分が投資無しにマーケットが広がるならそれも
いいかと話を進めることにした。
今までの貿易をしていた時代からの経験で言わせてもらうと
とにかく東南アジアの国の人は商談が調子がいいのだ。
まずすぐに出てくるのが自分はどこどこグループの会長と親友だとか、
妹の旦那がなになに会社の重役だとか、
親戚に偉い政治家がいるので政府の仕事は全部受注できるとか
とにかく話がでかく調子いいのだ。
俺も駆け出しの頃はほんとによくこれに騙された。
手繰っていくと展示会で偶然見かけただけで握手してもらった程度だったり単なる顔見知り程度だったりする。
俺はこんな話は聞いてもほとんど相手にしない。話半分どころか
5分の1にしか聞かない。
リーさんもやっぱり言ってきた。義理の兄が現代グループの役員なので
この国際電話システムをグル-プ全体に採用させる事も可能だと。
俺は心の中で「でたー!」って笑っていた。そんな霞のような話は
適当に流し真面目な堅実なマーケティングプランを打ち合わせさせた。
俺はNYの人材紹介業をやっていた頃、韓国系アメリカ人とはとても
うまがあって仕事ができた。
しかし韓国育ちの韓国人はちょっと違うのだ。
今は韓流ブームとかでかなり彼らの日本への感情はましになって
きたが俺と同年代から10歳下くらいまではまだまだ心の中の
半日感情はすごいものがある。
それは彼らが受けてきた教育にある。
彼らは小学校時代に必ず訪れる日本から受けた迫害博物館がある。
そこの展示物は日本兵が韓国の民間人を拷問や虐殺や強姦している
様子を実物大の人形を使って再現している。
鉄条網を首にかけ釣り上げている様子もある。それを壁にある小さな
覗きまどから子供に一人一人覗かせるのだ。
子供の頃のこの教育の影響はでかい。
だから韓国人とビジネスでうまくいっているときはいいが一旦もめた時には凄まじい迫力だ。
そして彼らは徴兵制度があるためだれもが徴兵を経ている。
それだけあって逢う人逢うひと身体ががっしりしている。
日本の若者には決してないパワーを感じる。
それはワールドカップの応援を見ても分かるだろう。
その後、やりとりがありリーさんとOEMの契約を結んだ。
韓国用にNYのサーバーの容量区分を追加する事にした。
一切のデポジット(保証金)、イニシャルコスト(初期費用)、
アドバンスフィー(料金前払)など一切とらなかった。
リーさんへの負担を減らして上げたかったしベンチャー企業の
立ち上げの苦労を俺は知っていたからだった。
しかしそれは・・・・・・
続く