例えば会計士や弁護士が自己紹介で
「パートナーやってます」って聞いてもほとんどの日本人は
ふーんとしか思わないだろう。
パートナーって聞いても「人生のパートナー」ぐらいにしか
思わないだろう。
しかしアメリカのビジネス界で働いた事があるやつは
「パートナー」と言う肩書きにすごい威力を感じるんだ。
プライスウォーターハウスやアーサーアンダーセンのような
会計コンサルティング大手事務所でもし肩書きにパートナーと
あれば事務所のオーナーであると言う事だからだ。
ある意味プレジデント(社長)やエクゼクティブバイスプレジデント
(副社長)よりも遥かに威力がある。
ここらへんの認識がなぜ日本人ビジネスマンには欠けているのだろう。
アメリカは州によって弁護士資格が違うのだ。
とにかく数えきれないほどの弁護士がいるのだ。
そして腕もピンからキリなのだ。
案件の重要度によって弁護士のランクを使い別けるのだ。
企業訴訟や調停や契約はパートナークラス。
小さな未払い電話料の取立ては若いアソシエトクラスに依頼する。
でかい案件になるとまずいきなりイニシャルフィー1万ドルをすぐに振り込むように請求される。
そして弁護士が調べ物をしたり電話をしたり書類を作ったりする時間を
時間あたり数百ドル単位で消化していく。
そのイニシャルフィー1万ドルが瞬く間に減っていく様子がFAXやEメールで報告される。
そしてそれが残り少なくなるとまた次の1万ドルの振込みを依頼して
くるのだ。
しかし日本の企業は一旦名の通った弁護士事務所に頼んだら
仕事の進捗状況をもチェックしないで言われるまま振り込んでしまう。
そうなると悪い弁護士事務所だと調査と称してどんどんお金を使って
一向に成果が上がらない羽目になる。
他の州の判例をちょっと調べて3時間1000ドルなんて課金したりする。
だから弁護士を変更するなんていうのはアメリカではしょっちゅうだ。
中には俺のやっている人材紹介の会社に職を求めて登録に来た
弁護士も何人かいた。
知人の女性がホームステイ先のおやじにレイプされそうになって
相談された事があったのでさっそく担当させてみたら
見事和解金をせしめた。それも電話だけで話がまとまったのを
横で聞いていた。
これは落合先生に実際に直に聞いた事だが
KKKという有名な過激人種差別結社の若きリーダーが逮捕された。
そのリーダーの弁護をあるユダヤ人の弁護士がかって出て
あらゆる論理を展開して無罪を勝ち取った。
その記者会見でリーダーは弁護士に向かって「俺を助けたと思って
いい気になるなよ。俺は今でもあんたの仲間がガス室に
送られるの望んでいるんだぜ」
するとその弁護士は言った。「あなたのその意見は誤りだと思うし
その意見を軽蔑もする。しかしあなたがその意見を公の場で発言できる
権利を死んでも私は守る」
これぞ民主主義の姿だった。これぞアメリカなんだ。
こんな素晴らしい弁護士もいるんだ。