前にも書いたが大学時代にテレビ朝日の制作部でアルバイトを
していた事があった。
俺の番組の隣が水曜スペシャルのチームだった。
ここの番組は毎週7時半から9時の枠で「全国警察24時」とか
「川口浩の探検隊シリーズ」などが目玉でかなりの視聴率を
あげていた。
川口探検隊のタイトルは面白かった。
「驚異の人食いワニ・ブラックポロサスを追え!!恐怖の毒蛇タイパン狩り!2億年の恐竜は存在した!」
「怪奇!!衝撃のミイラついに発掘!!地中深く響く怨念の叫び声!!今甦る270年前の即身仏法海上人」
「爬虫類王国オーストラリア!猛毒蛇の大洞窟征服の果てに幻の白いカンガルーを見た!!」
「ブラジル秘境!熱帯の大湿原パンタナル奥地に血に飢えた人食いピラニアは実在した!!」
「驚異!幻の魔獣"バラナーゴ"をスリランカ奥地密林に追え!!」
「緊急取材!!ルソン島未踏の地に幻のウロン族は実在した!!」
こんな調子なんだ。彼らの話を聞くと面白かった。
毒蛇タイバンは普通の蛇を街の店で買ってきて美術班がスプレーと
塗料で塗って作ったらしい。
カンガルーは真っ白にすればいいだけだから楽だったそうだ。
ピラニアの群れの恐ろしさを撮影するために生きた牛があっというまに
食われて骨になるシーンを撮影する事になってピラニアの群れに
牛を入れてもちっとも食わないんだって。
だから急遽用意した牛の骨を後で撮っていかにも食べられて
骨になったみたいに見せたって言ってた。
ルソン島のウロン族は街の御土産屋で働いている従業員達を
雇って原住民の格好させたって。
他にも「驚異、死者と話せる青森恐山の真実」って言うのがあった。
これは青森の恐山のイタコという老婆たちに死者の霊が
乗り移って会話ができるという有名な名所だ。
毎年多くの観光客が訪れる。
実際のものを見てみるとほとんどが乗り移って死んだ人が話している
らしいのだがあたりさわりの無いことばかりしか話さない。
「もっと生きたかったー」とか「いつも天国から見守っているぞー」とか
だれにでも言えることばかりなのだ。
ところが水スペは違った。イタコが分かりえない家族の名前や
事情まで話すのだ。これには俺も驚きかけたがどうも
水スペの冠がつくと怪しくて仕方ない。
スタッフに聞いてみるとやっぱりそうだった。
予め興信所に依頼して調査した資料をイタコに教えそれをイタコが
家族の前で話しただけだった。
だまされた家族はほんとうに痛々しい。
これだけ悪行を重ねた水スペだがスタッフがひとつだけ
ヤラセ無しで本当に腰を抜かすほど驚いた事があったらしい。
それは続く・・・・・