昨日の続き
ラスベガスでの展示会は計5日に渡って開催された。
最初の数日でかなりの数のカーアクセサリーが売れた。
そして1万ドルの商談もいくつも決まり日本からの
発送をメーカーへ手配した。
展示会4日目の昼に商品を買った個人がブースに
訪ねてきた。「この商品、シガーソケットにゆるすぎて
入らなくて使えないんだけど。これ不良品?」
え?と思い俺はその商品を持って駐車場の自分の車の
シガーソケットに差し込んで見た。
冷や汗がタラーって流れた。
緩すぎるのだ!慌ててブースまで走ってシガーソケットを使う全商品を
持って来て車で試したが全て緩すぎて電気を拾えない。
全てのカー用品は日本車用に作ってあった。日本車のソケットよりも
アメ車のソケットの方がでかくて太いのだ。
俺が売ったシガーソケットを使用するカー用品は全てアメリカでは
使い物にならないのだ。
これは俺の完全なる思いこみだった。
「これはえらい事になったぞ」
これでビジネスはパーだ。あとはバイヤーにいかに謝罪して
返金するか。そして次回のビジネスに繋げるための信用を
保持する方法を考える。
直ちにブースでシガーソケット関連の商品を引っ込めさせた。
そしてコンベンションセンター横のヒルトンホテルの自室に帰り商談のまとまった会社に電話を入れ
事情を話し契約の解除を申し入れ代金を直ちに返金する事を
伝えた。
中には怒り出す人もいたが俺は平身低頭だった。
チェック(小切手)を書いて詫び状を添え郵便で全部で20社ほどの
会社に発送した。
これで完全に2日が潰れてしまい、ラスベガスの展示会は不本意に
終わってしまった。
アメリカでの最初の失敗をここラスベガスで喫してしまった。
今でもこの街を訪れる度あの思い出がよみがえる。
あの頃は失敗の連続だった。26歳の思い出だ。