1993年 ロバート・デニーロ監督 主演作品
ブロンクスとはニューヨークではハーレムを凌ぐ程治安の悪い地域だ。
1960年のブロンクス区の道に面したアパートの3階に9歳の少年カロジェロは
父親(ロバート・デ・ニーロ)と母と暮らしていた,
父親はイタリア移民の2世でバスの運転手だが実に誠実な男だ。
息子の教育には熱心で「才能を無駄遣いするな」といつも言い聞かせ,
堅実に息子が育つことを願っている。
しかしやんちゃなカロジェロは近所のバーに密かに遊びに行き、
そこで見かけるギャング達のボスのソニー(チャズ・パルミンテリ)に憧れていた。
そんなある日,カロジェロがアパートの入口で遊んでいたら,
大人二人の喧嘩が起き,ソニーが一方の男を撃ち殺してしまう。
警察が駆けつけ目撃者であるカロジェロに犯人の面通しをさせるが,
ソニーを名指す事はしなかった。
ソニーは釈放されカロジェロを「C」と呼んで可愛がるようになる。
しかしギャング達と係わり合いを持ちたくない父親は気に入らない。
8年後,成長したカロジェロは高校に通いながらソニーの弟分でありながら
イタリア系の仲間たちと青春を謳歌していた。
ある日、父の運転するバスに乗っていた時、黒人の若い娘と偶然巡り会い
心奪われる。
ある日カロジェロとイタリア系の友人達がちょっとしたイザコザで
ある黒人の少年をリンチにしてしまう。
もう黒人には偏見を持っていないカジェロは必死でとめた。
その少年は皮肉な事に彼女の兄であった。
黒人たちとイタリア系の仲間の間にやられた、やりかえすの繰り返しの抗争が起きる。
やがて抗争はエスカレートするがソニーがカロジェロを無理矢理車から引きずり
降ろす。
仲間はその足で黒人の店に火炎瓶を投げ込むが逆に投げ返されてしまい
車が爆発炎上してしまう。
カジェロはソニーによって命を救われたのだ。
そんなソニーとカロジェロにも悲しい運命が待っていた。
男の生き様をカロジェロが父親やギャングのソニーから学んで育っていく。
仲間の友情と死、人種を越えた愛。
「男にとって真の魅力ある女性とは」を教えるソニーの言葉がいちいち頷ける。
「車のドアを開けて乗せて後に男が運転席に行く間に運転席側のドアロックを
はずしてくれる女なら合格だ」とか、
「お前がクシャミをしたら「ゴッド・ブレス・ユー」(お大事に)って言ったらその女は合格だ」
とか実に面白い。
ちなみにアメリカでは隣の人がクシャミをすると、神様が飛び出てしまうと
信じていて「ゴッド・ブレス・ユー」(神のご加護を)と言うのが習慣になっているんだ。
俺は若い頃間違って「ガッデム・ユー」(こんちくしょう)って言ってしまって
目を丸くされた事があった。あわてて訂正したけど。似てるんだよなー。
1960年代のブロンクスとそこに住む人々の日常生活を忠実に再現し,
マフィアの普段の生活を見せてくれるのだ。
時代考証は完璧だ。
デニーロが海水浴場でスカウトしたという9歳の少年カロジェロを演じるF・キャプラ、
17歳の少年のデ・ニーロにそっくりのR・ブランカトー。
ジャズそしてR&Bの音楽が感動の周波にビブラートしてくる。
でも俺が好きなシーンは、店でイチャモンをつけて暴れるバイクに乗った
暴走族をソニーたちがぶっ飛ばすシーンは何度見ても痛快だ。
悪にも上には上がいると言うことだ。
男とは、女とは、人間とは、人生とは、運命とはを考えさせてくれる名作だ。
こんな秀作が人々に知られる事無く消えていくのは実に惜しいぜ。