鳴り物入りで90年に登場したホンダが社を上げて発売した高級スポーツカー
NSX。数字のデータは確かに素晴らしい。
しかし当時F1全盛期でシーズンでアイルトン・セナとアラン・プロストで
ほぼ全勝したあのV10気筒エンジンが搭載されるものと期待したが
6気筒だった。
NSXが最悪なのはそのデザイン。キャビンからそのままのラインでエンジンルームまで
ひっぱるのがミッドシップの美しさなのにNSXはキャビンの終わりからストンと
低くしてしまっている。せっかくのエンジンルームがトランクに見えてしまうのだ。
ドア横のダクトの切り込みは当時のフェラーリテスタロッサからのパクリ。
それもびくびくした薄さなんだ。テスタロッサはあのダクトのおかげで駐車しても
ドアがあたり満足に乗り降りすらできないデザイン重視のいきのよさ。
NSXはまさに上面っつらだけ舐めたうすーいダクト。
内装のセンターコンソールを斜めにしたのはポルシェ928から
頂いたデザインと即座にわかる。
リアのボディ一体型ウイングは当時のポルシェ959やF40からのパクリ。
真後ろから見るとウイングの外のラインは曲線で内側はカクカクのライン。
さらにリアタイヤから後ろのはみ出たボディが長いこと。
同時期発売されたフェラーリ348のリアタイヤハウス直後にすぐにボディが
終わるショートカットデザインの美しさは先鋭で息を飲む。
もうイタリアのカロッテェリア(車デザイナー)とホンダデザイン部の実力の差が
これほどまでに見せ付けられるとは。
街中で見かけてもホテルのガレージでNSXを見かけても、憧れのではなく
「あきれ」のため息が出てしまう。
当時の発売時の新聞一面を使って広告が出ていた。
「私達が作りたくて作りたくて仕方なかった車です」
キャッチコピーは「感じるのは緊張ではない、開放だ」
しかし実態はあらゆる欧米の有名車のデザインのいい所を掻き集め
まねっこしまるでモンタージュ写真のような不自然なバランスさを
車で表現したように思えるぜ。
そして随所に画期的とは言っても運輸省の顔色見ながら作ったのが
よく見て取れる。
ホンダには高級車のレジェンドがあった。NSXはただの「ヤング・レジェンド」だぜ。
宇都宮研究所や朝霞研究所の連中に言いたい。
本田宗一郎はこんなものつくりたかったのか。
NSX