僕が尊敬している作家の落合信彦先生に食事に誘われ先生行きつけの青山のフォレストという店で聞いた話。
先生には尊敬する旧友のフェニキア人のジョンシャヒーンという男がいた。
彼は凄腕のビジネスマンであったと同時に事業で失敗した友人の面倒をみてあげる
優しい男でもあった。
1960年ニクソンはケネディに大統領選で僅差で敗れた。
落選し無職となったニクソンをジョンは自分の会社の身分で
雇い食べさせてやってた事がある。
ある日、フランスのコートダジュールのジョンの別荘にニクソンを連れて行ってやったらしい。
するとニクソンは決まって朝と夕方に出かけてしばらくしてまた帰って来る。
ジョンが行き先を聞いてみるとなんとドゴール大統領の別荘へ行っていたらしい。
ニクソンはドゴール大統領の第二次大戦中の活躍に憧れ本を読み心の底から尊敬していた。
ニクソンはどうしてもドゴールに一目逢いたかったんだ。
別荘の門のところでニクソンは目の通過するドゴールの車と護衛の車列を見ていた。
そんな事をして10日も過ぎたある雨の日、傘もささずに立っていたニクソンの前に
帰宅したドゴールの車が停まった。
車のドアが開いてドゴールが言った。「ミスターニクソン、さあ車にお乗りなさい」
ニクソンはなんとドゴールの別荘に招かれ食事をご馳走になった。
その晩ジョンの別荘に帰ったニクソンは大喜びで笑いながら
ワルツを踊っていたという。
ジョンはニクソンが気がふれたのではないかと思ったらしい。
ケネディに敗れて8年後、1968年の大統領候補として共和党から出馬。
民主党の大統領候補、ヒューバート・H.ハンフリーを破り、
第37代合衆国大統領に就任する。
大喜びのニクソンがジョンに言った。
「やったぞ!今度はドゴールが俺に逢いにくるぜ」
すごいスケールの話だと思わないか。