1978年作品 監督 ジョン・ランディス 主演 ジョン・ベルーシ
1962年、アメリカの屈指の名門校フェ-バー大学はボストンにある全寮制の大学だ。
良家の子女や優等生が所属する寮「オメガクラブ」と、
学内の落ちこぼればかりが集まった寮「デルタクラブ」が何かと対立していた。
何とかデルタクラブの連中を追い出したい学長は、オメガクラブと手を組んで
デルタクラブの一掃を図る。
成績不良を理由にかこつけて退学を命じられたデルタクラブのメンバーたちは、
デルタの格言「男は黙って仕返しする」をモットーに、大学やオメガクラブの連中に一泡ふかせるためにハチャメチャな作戦を開始する。
アメリカン・グラフィティの大学生バージョンで、抱腹絶倒のコメディだ。
大学へ入学したばかりの新入生の二人は自分達の入るべき寮を決めるためにそれぞれ
寮のパーティーを訪れた。
最初に訪問したのは優等生で誉れ高いオメガハウスだ。
役員は全員がケネディカットでイニシャルのついたブレザーを着込み典型的な
アイビールックだ。パーティーに来ている女性もドレスとカチューシャが
似合う美しくて上品な人ばかり。会場はクラシックが流れ皆がカクテルグラスを
優雅に傾ける。
会話も格調高く音楽、美術と文化的にもかなり知的だ。
外国からの留学生もこれまた真面目で無口で人形みたいな連中が座っている。
自分の将来を考えるとオメガこそ自分の入るべき寮であると思う。
寮の役員も皆好青年で笑顔で迎えてくれる。
まさにエリートの館と言う雰囲気ではあるがどこか無機質で冷たい。
俺はもうこの時点でオメガハウス蹴っ飛ばしてるね。
オメガに入れば優秀な先輩にも恵まれエリートの仲間入りができそう。
でも果たしてそれが自分の望む道なのだろうか。
そんな疑問を持ちながらもう一つの寮「デルタハウス」に行ってみる事にする。
デルタの前にくると後ろ向きに佇んでいる男がいる。
「ここはデルタハウスですか」と聞くとなんとその男(ジョン・ベルーシ)は
片手に酒瓶を持ち酔って立ちション中。
ジョンが中に招き入れるとドア目掛けて酒瓶が飛んできて壁にあたり砕け散る。
中は凄まじいランチキ騒ぎの真っ只中。
とにかく二人が歩くところの壁に瓶が飛んでくる荒っぽさだ。
うわあーこの雰囲気は凄いぜ。
ドアをいきなり蹴飛ばしてバイクが寮に飛び込んできた。バイクは一気に階段を
登りきり停まる。懐からビールを取り出し飲み干す。彼の名はディーデイ。
映画は荘厳な音楽と大学の歴代の学長の銅像などが映り荘厳な雰囲気のまま
秀才達が集うオメガに画面は続いていく。
この最初のまじめなオメガと落ちこぼれのデルタのコントラストがめちゃめちゃ
面白いのだ。
結局新入生のラリーとケビン・ベーコンの二人はデルタへ入寮を決める。
しかしここの先輩達はどうしようもない連中ばかりだ。
デルタのモットーは「男はだまって仕返しをする」だ。
英語でWe have an old saying in Delta: Don't get mad. Get even.
と言っていた。
学食では各自がトレイを持ち移動し、好きなメニューをピックアップして最後に
レジでチェックする方式なのだ。ジョン・ベルーシはトレイに次々と食べ物を
山ほど乗せていく。さらにサンドイッチやハンバーガーをこっそりと大胆にポケットに
ねじ込むのだ。
そしてプリンの皿を両手で持ったと思ったら周りを伺って一口で吸い込んでしまうんだ。
その吸い込む前の表情と片眉だけを上げるのがもう最高だ。
俺も学食でやってみたかった。
そしてジョンはオメガの役員とその彼女達が座っているテーブルへ遠慮なく
相席してしまう。実はジョンはオメガの会長の美しい彼女に恋心を抱いているのだ。
わざと汚い食べ方をして見せて、役員達や女性から罵声を浴びせられながら
ゆで卵を自分の口に入れ両頬をグーでパンチして相手の皿にぶちまけてしまう。
オメガの連中は怒りジョンを掴んでぶっ飛ばそうとするがさらりとかわしてしまう。
食堂は大騒ぎ。
ジョンとディーデイは学長から呼び出され最悪の成績のため退学処分も止むなしと
通告する。
新入生の軍事教練の教官はオメガの役員だ。デルタを目の敵と思う教官は
いじめ同様のしごきを果たす。さらに教官の大事にしている美しい白馬の厩舎の
糞掃除を命じられる。それも道具無しでだ。
可愛い後輩の恨みをはらしてやるべくジョンとディーデイは新入生と一緒に
夜その馬を連れ出しなんと学長の部屋に連れて行ったのだ。
そして新入生に銃を渡し、あの教官が憎ければ馬を射殺しろとけしかける。
しかし実は銃の弾は空砲だった。先輩達は新入生をからかっているだけなのだ。
どうしても銃を馬に向けて撃つ勇気がないので銃口を上に向けて一発撃った。
もちろん空砲だった。
しかし音にショックを受けた馬はなんと死んでしまったのだ。
驚いたのはジョンとディーデイ。
顔を見合わせて叫びながら学長室から逃げて行った。
翌朝、学長が部屋で馬が死んでいるのを見つける時を想像するともう
笑えてしょうがない。
ある先輩は女の子のナンパを指南する。まず女子大の新聞の死亡欄を見て
その子がいた寮を訪ねる。その子に恋人だと言い何食わぬ顔で面会を求めるのだ。
当然ルームメイトが出て来て神妙な面持ちで実は先日亡くなったと告げる。
先輩はショックを受けた振りをしてもう立ち直れないくらい落ち込むのだ。
当然優しいルームメイトは先輩を慰めようとする。
先輩は言う。「今夜は一人でいられない、一緒にいてくれないだろうか」と。
これが実は先輩のナンパの手口なのだ。
教授の作った試験の原稿をゴミ箱から徹夜で探し出してカンニングするが
そんな手口はお見通し。
実際の試験は全く別の問題が出題されデルタは全員不可。
カンニングに失敗して落ち込んでいるデルタ会員をジョンは
演説をして皆を励ます。「ドイツのパールハーバー攻撃を忘れるな」って。
だんだん笑えてやがて皆が元気を取り戻していく。
デルタが解体される事になり強制撤去がはじまった。
なんと牛が連れ出されている。寮で牛を飼っていたのだ。
とにかく全編デルタのはちゃめちゃぶりは最高に笑える。
下劣な表現がテンコ盛り。
名門大学でもこんな落ちこぼれで悪い奴がいるのが楽しい。
常識を超えるぶっ飛んだ行動は胸がすくようだ。
まさに映画の中に入ってしまいたい衝動にかられる。
俺も横浜の高校で寮生活をおくったがあの楽しさは心の宝だ。
おれももし入るなら絶対デルタハウスだぜ。
俺ね、やってる事このジョン・ベルーシに似てるってよく言われたもんだった。
落ちこぼれ集団の有り余ったパワーと行動には辟易するかもしれないが、
彼らにラストでやっつけられるオメガのエリート優等生集団はとにかく
嫌な野郎ばかり。
デルタハウスに入りたかったぜ。こんな先輩達に会いたかった。
最後に皆のその後の消息が出る。
ディーデイはベトナム戦争で戦死。
ジョン・ベルーシはなんと上院議員だってさ。そして夫人はあの恋焦がれていた
オメガの会長の美人の彼女。
上院議員って一つの州で三人しか選ばれない議員だぜ。凄い出世だ!
まさに人生は分からないぜ。