ジョー・ペシ
「リーサルウェポン」で出てきた小柄でうるさくて
臆病でしつこい役柄だった。
このシリーズに何本も登場し目障りで目障りでしょうがなかった。
しかし「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」での
ギャングの役、
「カジノ」での同じくギャングの役はすごいぜ。
今まで愉快に笑って話していてもある言葉に瞬間切れて
次の瞬間相手を殴り殺してしまう狂気はハンパじゃない。
この全く違う役柄を見事に演じ切るジョーに俺は今ではぞっこんだ。
ダニー・デビート
「ツインズ」でアーノルド・シュワルツネッガーと共演した彼は
小柄でデブで禿げで見た目はいいとこなし。
ぎょろっとした目つきで抜け目ないずるがしこいとにかく嫌いだった。
しかし「勇気あるもの」の冷酷だがやり手の社長の演技に感動!
こんなかっこいい社長がいるのかと思った。
乗り込んだ会社での演説は圧巻だった。
乗っ取られる側の社長のグレゴリー・ペックが完全に食われていた。
悪がきがそのまま大人になったような男なのだ。
ショーン・ペン
元マドンナの旦那としか呼ばれなかった。顔がまず嫌いだった。
さらに「小便」みたいな名前もいやだった。
声もなぜか聞いてて不愉快だった。
吹っ飛んだのは「アイアムサム」での演技。
知的障害者の役は「こいつほんとに知的障害者?」って錯覚させるほど。
DVDに実際のショーン・ペンのインタビューを見てこんなに知的な男だった
のかとその落差にアゼン。
最近の「ザ・インタプリター」では妻に先立たれた凄腕のシークレット・サービスの役を
見事に演じている。
ジーン・ハックマン
意識し始めたのは「スーパーマン」の悪役だ。このいやらしさ丸出しのキザさが
ほんとにいやで俺はジーン・ハックマンが一番嫌いだと心に決めた事があった。
しかし「フレンチ・コネクション」の刑事役のポパイ、這いつくばるようにして追跡しながらも
失敗の連続。そして遂に最後の最後に追い詰め犯人を射殺するのは圧巻だ。
ハックマンは怒る演技が最高なのだ。
「ミシシッピ・バーニング」のFBI捜査官は徐々に心の中の差別意識が変わっていく
様が実にうまく表現されていた。
「地獄の7人」はベトナムで行方不明になった兵士の父親役。
最後の悲しみを押し殺して出そうになる涙を目をカッと見開いて我慢する
顔は見てる俺が泣いてしまった。
ジーンハックマン、今では最も好きな俳優の一人だ。
ロバート・デニーロ
「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」「ニューヨーク・ニューヨーク」など
陰湿で執念深く女にたかるだけたかる人生の敗北者の役ばかりを演じていた。
映画の中の役の男性が嫌いで嫌いでしょうがなかった。
そしてデニーロにそのイメージを自然と重ねてしまって
とにかく嫌いだった。
ところが「ゴッドファーザーパート2」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」
「レナードの朝」「カジノ」とスクリーンに俺を引きずり込むがごとく惹きつけ魅了して
いった。
「アンッタチャブル」ではカポネを演じるのに20冊以上もカポネの本を読み、
体重を20キロ増やし生前のカポネを知る人物に会いカポネの仕草を
教わり演じて見せてチェックを受けたという。まさに架空の役柄に
「命」を吹き込むのに「命」をかけているのだ。
俺が特に好きなのが「ヒート」、そして「RONIN」だ。
頭が切れる悪役がまるで刃物のようでありながら時折見せる笑顔が子供のように
くったくがなくそのギャップに観客は翻弄されいつしかデニーロの虜になっている。
綺麗なハンサムだけの男ならモデル事務所にいくらでもいる。
しかしハリウッドのスター達は内面からかもし出す人間の魅力全体で
観客を魅了するのだ。
ロビン・ウイリアムスしかりダスティン・ホフマンしかり。彼らは決して
容姿はいい男ではないし美しくもない。
でもなんて魅力があるのだろう。