日本で初めて人材派遣業を立上げ社会の需要の波に乗って
急成長を遂げ今や日本でナンバー1の人材派遣会社のパソナの
南部靖之代表とは年に一度位はお会いする機会があった。
ビジネスの話をしていたつもりがプライべートな話に脱線したり
逆に雑談からビジネスが生まれた事もあった。
俺が渡米して暫くして南部さんもニューヨークに家族と一緒に
生活の拠点を移し永住権を獲得して郊外に豪邸を購入した。
正月には日本から新橋の政界ご用達の料亭「金田中」の
板前さんを二人を呼び寄せて自宅のキッチンで料理をさせるのだ。
南部さんとパーティーで会った時ラウンジに呼ばれブリーフケースから
出した分厚い企画書を見せられた。
当時ニューヨークは好景気に沸き、空前のオフィス不足に陥り家賃は天井知らず
だった。
マンハッタンのミッドタウン、ウェストのハドソン川沿いの列車操車場跡の
壮大な土地はマンハッタン最後のビッグ開発プロジェクトであった。
不動産王のドナルド・トランプは正にこの開発に取り掛かろうとしていた。
しかしその計画が完成するのには6年はかかる。
差し迫った現状の問題をを打破するのには時間がかかりすぎる。
企画書は正にそれを根本から解決してやろうとする内容だった。
正に常識を引っくり返し正に即効性のあるオフィス問題の解決策だった。
その内容に発想と奇抜さに舌を巻いて唸ってしまった。
南部靖之、この男はすごいと心の底から思った瞬間だった。
続く・・・・・・・・・