日本での大手国際電話会社KDD、IDC、ITJは連盟で正式に
我々の国際電話サービスの中止を求めて告訴してきた。
一度に三つの会社に訴えられたのだ。
同時に郵政省に同じく我々の国際電話サービスの停止命令を求めて
上申してきた。
皆は裁判所は公平に裁きを下してくれる最後の正義と考えているかも
しれない。しかし実は体制寄りの判決が実に多い。
また銀行、保険会社を特別扱いし有利な判決が出る傾向が強い。
明らかに大企業を守る考えがあるとしか思えないのだ。
郵政省は近く中止排除命令を出す予定だと言う情報が聞こえてきた。
それはあるゴルフクラブの会員から聞こえてきた情報だ。
KDDの役員は郵政省の官僚を始終ゴルフ接待しているのだ。
以前KDDの独占市場を改める意味で郵政省はIDC、ITJの設立を進めた。
一見自由競争市場が生まれたかに見えた日本の国際電話市場だが
実はどこの国もIDCとITJはKDDよりたった10円だけ安い。
例えば1分昼間アメリカKDDが330円だったらIDC、ITJは320円。
ほとんど差がないのだ。
ちなみに俺は40円代で殴りこんだんだ。
これでKDDの競合であるはずのIDCもITJも実は裏では
話し合いできっちり住み分けができていて3社で日本では甘い
蜜を吸う構図が出来上がっていたのである。
今回の訴訟と上申は各電話会社が単独で行うなら話は分かるが
独占大手3社が仲良く連盟で手をつないで我々の新サービスを
排除しようとしてきたのは汚い大企業のエゴを感じた。
これには燃えた。
大企業が日本の国家権力を使って潰そうとしてくるなら皆さんはそれと戦う手は
何だと思う?
俺はすぐにこの新国際電話サービスの仕組みと値段の安さとこのサービスが
いかに日本国民に利益をもたらすかを書き、KDDや大手電話会社たちのせいで
世界一高い国際電話を使い続けさせられている現実、そして我々のサービスが
そのガチガチの利権体制を破壊して安くして国民の利益になるかをプレスキットにして説明した。さらに将来的にはあるアイディアにより新サービスでは国際電話を無料にできる
構想を書いた。
テレビに出て「これは国民のための価格破壊なのだ。日本の国民は世界一高い
電話料金を払わされているのに気がつくべきです」と話した。
マスコミの反応は読売、毎日が真っ先に記事が載った。読売は一面に俺の会社名が
載ったのは嬉しかった。NHK、日本テレビ、TBS、フジ、テレビ東京、アメリカのABC等が
取材して言った。世論の盛り上がりはできた。
それらの記事とテレビをビデオにして翻訳を付けさらに日本の同業者や俺の契約しているアメリカのキャリア(電話会社)スプリント社、MCI社、ワールドコム社の連盟を付けFCC(連邦通信委員会)に
送りつけた。
書類は配達証明で送りつけ確かに受け取っているはずだがその後の反応は一切なかった。
二ケ月ほど経ったある日、郵政省から声明の発表があった。
「上申を却下する。理由はこの国際電話サービスは交換機はニューヨークにあり
日本に交換機を設置していなから日本の政府や法律の管轄外である。
もともとこの問題は日本の国際電話と海外の料金の大幅な格差に起因している。
国民の利益を考える場合、まずこの値段格差を是正しなければならない」
との事だった。
裁判は超楽勝だった。
しかし実の所は大体が予想がつく。国家権力や裁判所は正義ではない。
「力」である。その「力」にはかなうものではない。だがその力よりも強い力がある。
それはアメリカの「力」なのだ。
これはアメリカの電話会社の日本に対する輸出サービスなのだ。
日本は国民には強い。だがアメリカには弱い。この構図がはっきり見えた。
果たして俺が送った書類が効をそうしたのかどうかは今となっては永遠に不明だが
日本のガチガチの利権構造を破壊できたのは確かだった。
世界に少しだけでも自分の手応えを感じられた快感は最高だった。
一人で出かけて夜景に乾杯した。