バングラディシュでは建設現場の監督の家に他の労働者たちと
招かれた。
日本で言う粗末なバラックをややましにしたような家だが
土台がモルタルだからまだまし。これでも高級住宅なんだ。
家には奥さんもいるがサリーを羽織り顔まで隠している。
とにかく目だけ出してそして旦那以外とはしゃべらない。
料理は運んでくれるが決して同席して歓談したりなどしない。
とにかく徹底した男尊女卑なのだ。
これはイスラム教全般にいえる事だ。
簡単に子供の頭を撫でてはいけないんだ。頭には神がいて
神聖なものと考えられている。
こちらの人間は左手をとにかく嫌う。不浄な手として考えている。
左利きなど考えられないのだ。
理由はこちらはトイレで用を足したあと左手で拭くからなんだ。
それを葉っぱで拭くだけだからだ。
もちろんインテリ層や外国人はトイレットペーパーを使うが
そういう習慣が残っている。
出された料理は最高に豪華でも大きな皿に3品位。ほとんどがカレー風味。
豚はご法度。牛も食べられるが特別な血の抜き方をした肉でないと
イスラム教徒は食べない。
しかしバングラディシュではめったに手に入らない。
シシカバブ(羊のBBQ)とチャパティ(具なしのお好み焼)とカレーチャーハン。
そして手づかみで食べる。右手を指を内側に曲げて大きなスプーンみたいにして食べるんだ。皆の手が一斉に伸びるのには最初は面食らうがだんだん慣れてくるもんだ。
彼らはアルコールは一切口にしない。
もちろん煙草もやらない。実にストイックだ。
現場でいつも休み時間で盛り上がるのは日本で言う腕相撲なんだ。
しかしこの国の連中は細い連中ばかりで力の弱いやつばかりなのだ。
だから日本でさえ腕自慢の俺は彼らは敵ではなかった。
彼らの一番強い男でさえ2秒で破った。
それだけじゃない。全従業員を並べて次から次に休みなしに試合をして
全部まとめて負かした事もあった。
そのころ空手をかじっていたこともあってブロックを手で割って見せたことも
あった。彼らは口をパクパクして唖然としていたもんだった。
力を見せ付けるのは言う事を聞かせるには一番だった。
いつか現場の近所で大蛇に襲われて絞め殺された男がいた。大蛇は殺した
男をなんと足から飲み込みはじめ胸まで飲み込んだところで発見されたらしい。
こちらの人間はそれくらい肩幅が狭く細いのだ。
蛇と言えばよく現場にコブラの蛇使いが来たものだった。
それもキングコブラなのだ。
コブラを叩いて怒らせて寸前のところでかわすなんてハラハラするショーを見せてくれる。
終わった後、俺がポケットからクシャクシャのお金の札を渡した。すると真っ青になった俺の助手がその蛇使いに
食ってかかったのだ。
蛇使いも猛然と言い返している。凄まじい口論だ。
やがて意味が分かった。こちらの国の一ケ月の給与は日本円にして500円くらい。
俺はその蛇使いに日本円で5000円位の現地の通貨のタカを渡してしまったのだ。
現地人にとってはとんでもないお金だったのだ。
助手は俺が渡すのを見て間違って渡すのを見て取り返そうとしてくれたのだ。
やっと意味が理解できた俺もミスだったのだすまないと謝りやっと取り返す事ができた。
俺もしかしばかな事をしたもんだった。
下の写真の人力車はここのタクシーだ。
しかしうっかり乗るとボタン位の大きさの何かがぞろぞろ座席を動く。
これがダニなんだ。
あっという間に刺されて足に機関銃で撃たれてみたいに刺された1センチ位
穴みたいにが10個くらいあいたっけな。
しかしこの国の思い出は尽きない。