俺は東京駅行くといつも寄る所がある。
八重洲中央口から入って新幹線のエリアを越えた
広い通路の右の柱に目立たなく張ってある銅の
プレートがある。
そして一面ベージュの床なのだがタイルが一枚だけ
茶色の場所がある。
そこにはこう書いてある。
「昭和9年11月浜口雄幸
首相遭難の場」とある。
タイルが茶色の場所が銃撃を受けた場所だ。
そのとき浜口首相は岡山の演習場へ
演習の視察に出かけるためにツバメ3号に乗ろうとして
プラットフォームを歩いていた時、拳銃を持った右翼の
青年に腹部めがけて発砲された。一時は命はとりとめた
ものの結局それが原因で一年に亡くなったんだ。
実はこの浜口雄幸首相と当時の大蔵大臣井上
準之助は私の尊敬する人物でして、彼らは
日本の将来のために財政を金本位制に強引に
切り替えようとしたんだ。
生みの苦しみで改革直後は混乱がおきるとも
長い目でみれば必ず日本のためになるはずと
二人は考えて実行に移した。
そのとき浜口は井上に言った。
「この改革に多くが反論を唱え中には過激なものが
我々二人を暗殺にくるだろう。それでもやってくれるか」
井上は「それが日本のためならやりましょう、命など
惜しくはありません」と答えた。
金本位制に変換し経済は混乱を起こすものの
次第に改善の兆しが見えてきた。
しかし右翼の反応は過激だった。
浜口が調印したロシア軍縮条約の締結に不満の分子だった。
そして予想どおり井上も凶弾に倒れ
浜口も暗殺された。
彼らの偉業は「男子の本懐」と呼ばれている。
「男子の本懐」 心に響くいい言葉だ。
人生、こうありたいもんだ。